母語だからってそう簡単に使えるようにはならない?

日本では小学校からの英語教育がはじまりました。
皆さんはどのように英語を学びましたか、まだ学んでいる途中でしょうか。英語学習はスムーズに進みましたか、それとも大変でしたか。
大変だった、時間がかかったという方が多いのはないでしょうか。私も未だに習得過程であり、日々辞書や文法書を片手に英語と格闘しています。
日本語母語話者にとって、インド・ヨーロッパ語族に属する英語は習得に時間がかかると言われています。言語間の距離が遠ければ文法や語彙や発音など違いが多く、その違いを覚える必要があるため習得に時間がかかるのです。ですから、英語母語話者にとっても日本語は遠い言語のため、日本語を学ぶのにそれ相当の時間がかかります。仕事柄多くの英語母語話者と接していますが、日本に長く在住していても日本語での会話やメールなどのやり取りが難しく、意思疎通がなかなか取れない方にもよくお目にかかります。
外国語学習のみならず、実は「母語」の習得もそれほど簡単ではないってことご存じでしょうか。
なんだか知らない間に日本語を覚えて使えるようになっていたと感じているかもしれませんが、0才から最低でも義務教育期間の15才までは家庭や保育機関、そして教育機関で、母語を一生懸命学習しているのです。
国語の授業でも文法、語彙、漢字から読解まで学習していますよね。それだからこそ、不自由なく使いこなせるようになるのです。
ここで、イギリスの初等機関で使用しているテキストを少しご覧ください。
    IMG_1473.jpeg
     Key Stage Two English The Study BOOK, CGP
こちらは、7才から11才までの子どもがいわゆる「国語」の授業で使う教材です。pronouns(代名詞)の学習項目もありますね。
私の時代には アイマイミーマイン、ユウユアユウユアーズ(I, my, me, mine, you, your, you, yours)などと覚えたものです。
イギリスの子どもは、代名詞自体は早くに覚えていますが、その仕組みを学校で学習します。
Don’t keep repeating the same long words.
(同じ単語は繰り返して使わない)
Rechel took an apple.Rechel ate the apple on the way to school.
(リチェルはリンゴをもった。リッチェルはそのリンゴを登校中に食べた)
ではなく、
Rechel took an apple. She ate it on the way to school.
(リチェルはリンゴをもった。彼女は登校中にそれを食べた)
sheとitと置き換えた方がよい、ということを学ぶわけです。日本でも中学1年で学ぶことですね。
新たなことを1から学ぶには時間がかかります。日本語母語話者が英語を習得するには、それ相当の時間がかかります。ちまたで言われている「あっという間に学べる」「子どもがことばを学ぶように早く学べる」英語教材なんて、私は見たことありません。
子どもも時間をかけてことばを覚えていきます。我々もゆっくりでも一歩一歩進んで行きたいものです。

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